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2017年EC業界に迫り来る物流ショックにどう備えるか

中村です。Amazonプライムに加入してからと言うもの、数百円の歯磨き粉を送料無料で届けてくださるのに罪悪感が有ったり無かったりする今日この頃です。

今に始まったわけではありませんが、世の中のEC化が進むにつれ運送業界はパンク寸前と言われています。昨年末は「ふるさと納税」の駆け込みの影響もあってか佐川急便がパンクしました。

 宅配大手の佐川急便で、年末の荷物量増加に伴い、東京や埼玉、愛知、大阪など7都府県で配達に遅れが出ている。クリスマス関連イベントの荷物や歳暮などの配達を待つ利用者たちから、困惑の声が上がっている。

情報源: 佐川急便:7都府県で遅配 荷物集中や人員不足原因か – 毎日新聞

このような配送業者の状況とは裏腹に各小売り業界はEC化を加速させており、ユニクロにおいても有明に大型物流センターを竣工させ、翌日配送の安定化を図ると明言しています。

しかしながら物流センターが完成したとしても肝心の配達する人手が足りなければどうにもなりません。

※2017/03/03追記

いよいよヤマト運輸が動き出しましたね。来年度からと言う事なので今年の4月頃から大きく変わってくるのではないでしょうか。

ネット通販の拡大などによって宅配便の量が急増し、人手不足が深刻化しているとして宅配最大手のヤマト運輸は、正午から午後2時は時間帯指定の配達をやめるなど、宅配サービスを抜本的に見直す方針を固め、来年度中の実施を目指すことになりました。

情報源: ヤマト運輸 人手不足で宅配サービスを抜本見直しへ | NHKニュース

昨日のクローズアップ現代でも宅配便の問題が取り上げられていましたが、ヤマトだけではなく佐川急便や日本郵政も動いてくるでしょう。

個人的に日本郵政に注目していて、独占事業である郵便で利益があるため「ゆうぱっく」は赤字覚悟でシェアを奪いに来る可能性があります。

そうなると宅配業界全体を改善する流れに水を差したという事で、世論は郵政を総叩きすると思われます。

そもそも「ゆうパック」はサービスレベルが非常に低いため、急激にシェアを増やすと大混乱すると思いますがw

いずれにせよ本件のタイトルでもある物流ショックは序章に入ったと言えます。

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今後考えられる状況

運賃値上げ

まず想像に容易いのは運賃の値上げです。

そもそも10年ほど前の佐川急便はECの仕事を片っ端から取ろうと極限まで値段を下げていました。その後EC業界の成熟やAmazonのシェア拡大等を受け、消費者意識も時間指定、送料無料等のサービスレベルは高くて当たり前のようになり配送業界も安い運賃では賄えなくなっていきました。

そして原油価格の上昇も含め、耐えきれなくなった佐川急便は2013年にAmazonとの取引撤退を決めました。

2000年にアマゾンが日本に進出したときには、日本通運の「ペリカン便」が宅配業務を担当していた。それを佐川が引きついで、業界首位のヤマト運輸とともにアマゾンの配送を支えてきた。今回、佐川が撤退を決めたことで、アマゾンの宅配業務はほとんどヤマトが一手に支えることになった。

情報源: 要求高くて対価は低い 佐川がアマゾンとの取引撤退 宅配業界大揺れ(1/2ページ) – 産経ニュース

そして今度は昨今見られる時給の上昇です。特に首都圏中心に上昇していて、飲食店等で深刻な人手不足だというニュースは記憶に新しいです。

ドライバー不足だけではなく、特に重労働の宅配業界においては更なる賃金を上昇させなければ現状を打開できるとは思えません。

これらを見ても確実に運送料の大幅な値上げは近いうちにあると思っています。

不在を繰り返すと配達拒否

現在宅配業者の至上命題としても取り上げられるのが再配達の問題です。

これは明らかに消費者側の問題で、下記を見ても消費者が総じてモンスターカスタマー化しているのも見てとれます。

1回目の配達で受け取れなかった理由について、「配達が来るのを知らなかった」が約42%で最も多く、次いで「配達が来るのを知っていたが、用事ができて留守にしていた」が約26%、「もともと不在になる予定だったため、再配達してもらう予定だった」が約14%と、いわば「後日における再配達の依頼を前提とした不在」が併せて4割を占めた。

情報源: EC事業者も見逃せない、”再配達”増加問題の今|ECのミカタ

宅配業者からすると再配達にかかる費用は自社で持っているため、このようなアンケート結果はわかっていても腹立たしいものだと思います。

そしてきちんと受け取っている消費者に運賃値上げのしわ寄せが行くのもどうかと思いますので、配達時不在の累積数でブラックリストを作成し配達拒否等の対応をとってもおかしくないと思います。

まあそうなると今後は商品を発送する側がお客さんへの確認などで大変かもしれませんが、そんなまともに受け取らないブラック野郎はお客と見なさなくて良いでしょう。

スピード配達の有料化

もう一つ問題になっているのが、楽天市場の「あす楽」やAmazonの「お急ぎ便」です。

この過剰サービスとも言える代物が宅配業界の大きな負担になっています。

そもそもそこまで急いでいない商品でもスピード配達が選択されるのは無料だからです。Amazonはプライム会員が無料でそれ以外は有料ですが、プライム会員へのハードルが低いためお急ぎ便の利用度は非常に高くなっています。

通常より急ぐサービスなわけですから、今後相応の料金が必要になるのは間違いないでしょう。

となれば「あす楽」や「お急ぎ便」のあり方が見直される事になると思います。

以前からうちの会社では正午までの注文は当日出荷していますが、あえて「あす楽」の設定はしていません。翌日届けられなければペナルティとかアホらしいからです。

今後各モールやECサイトの動向には注目ですね。

今こそ送料無料を辞めるべき

このように商品の個配は近いうちに大きなコストアップになると思われます。

そうなると、現在客引きのために送料無料を当たり前のようにやっているショップは一気に経営が苦しくなります。

ある程度売上げのダウンを見込んだとしても、個別の送料は有料にしてユーザーから運賃が回収できるようにすべきです。

コンビニ受取が普及したとしてもショップ側に恩恵はありません。あれは配送業者のコストカット用なので、運賃に反映される事はないです。

そもそもヤマトや佐川は、コンビニ受取一件ごとに手数料を取ろうとしていたぐらいですから。

まとめ

このように今年度に運賃の値上げを含め、配送業者側でなんらかの動きがある可能性は多いにあります。

以前の記事でも送料については触れましたが、梱包から出荷までにかかる費用の7割はユーザーから回収するようにした方が良いです。

特に商品単価の安い商材を扱っているお店は要注意かと思われます。

くれぐれも運賃値上げに大人げなくゴネないようにしましょうw

でわまた

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父ちゃん
小さなお店を営む父ちゃんです。